シャッターの向こう側。
***




「宇津木さん?」

 数日後、休日前の残業していたら、青ざめた顔をした雪が会社にやってきた。

「何だ」

「これ、見てもらえますか?」


 そう言って差し出して来たのは、一枚の写真。


 半分は白い何かに覆われて、もう半分に人影。

 よくよく見てみると、それが自分だと解る。


 この間の時の写真だろう。

 目を見開いて、唇を引き攣らせた自分は……何とも滑稽だ。


「お前も悪趣味だな」

「違う、違う。そうじゃなくて……」


 雪が指で示したのは、シーツの部分。


「……ぉお?」

「おぉじゃなくて!」

「だが、これは……」

「言わないで下さいね! 言ったら怒りますからねっ!」


 それはそれで面倒だな。


 仕方がないから、黙って写真を見る。


 驚いたツラをした自分のもう半分。

 シーツが入り込んだ部分。


 多少ぼやけているが、そこにカメラレンズを覗き込む様な、人間の顔の輪郭があった。

 人だとすると、髪は長くない。

 鼻も、そんなに高くはない。

 目は、白目の部分がなくて、暗い空洞のようだが……


 しっかりとカメラ目線のソレ。


「そんなの撮っちゃったら、一人で家にいるのが怖くて」

 身体を摩りながら、青い顔のままの雪を見る。


 まぁ……怖がりだからな。


「……じゃ、うちに泊まるか?」


「え……?」


 みるみるうちに赤くなった。



 ああ……

 何か妄想し始めた。


 それはそれでいい。


 間違いないから。


「どうする? 泊まりに来るか?」


「え。う~……」


 こいつは、いつも〝お泊り〟に悩むな。

 だいたい、お互いの家に何度も泊まっているんだし、今更何を考える事があるのか……

 普段なら、聞かないで連れ帰る……が。


「家で、夜一人は怖いんだろう?」


「うー……」


「じゃ、やめるか」

 あっさり引いてみたらガシッと腕を掴まれた。
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