指先からはじまるSweet Magic
一度大きく呼吸して、私は顔を上げて圭斗の方に足を踏み出した。
そして、差し伸べられた手に自分の手を重ねる。


そっと触れ合った手を、指を絡めて握り締めた。
黙って圭斗を見上げると、圭斗はとても優しい柔らかい笑みを浮かべていた。


その表情が、私の心に深く広く浸透していく。


正直なところ、この怒涛の急展開に、私はまだついていけていないと思う。
それでも、圭斗の手は相変わらず大きくて温かいから。
この手に身を委ねることに、怖れはない。
一歩踏み締める毎に、心が寄り添って行く、そんな気がする。


エレベーターから降りて、二人で一緒に駐車場に向かう。
しっかりと握り締めた圭斗の手の温もりを感じながら、私はその横顔を仰ぎ見た。


「……圭斗」


呼び掛けると、ん?と短い返事が返って来る。


「これからも……」


そう呟いて、私はその先を飲み込んだ。


「里奈?」


そのまま黙った私に、圭斗が不思議そうに目を瞬かせた。
私は笑みを浮かべて圭斗に小さく首を振って見せる。


「ううん。なんでもない」

「……?」


一度首を傾げながら、圭斗が手に力を込めた。
それを自分の手で感じながら……。


これからも、ずっと。
この手で私に魔法をかけて。


私を、この世でたった一人の圭斗のお姫様にして。


口にするにはちょっと恥ずかしい願いを、握り返した手に込めた。


それが伝わったのか。
圭斗は、私が大好きな穏やかな笑みを向けてくれた。
< 97 / 97 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:231

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―

総文字数/84,449

恋愛(オフィスラブ)104ページ

ベリーズカフェラブストーリー大賞エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
本音が言えない孤独な末端社員 宇佐美ちひろ(25) × 部下に怖がられることが悩みの鬼神部長 湯浅慧一郎(35) 不器用な二人の匿名の出会いから始まる 秘匿性高めな恋愛模様
魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
  • 書籍化作品

総文字数/118,254

恋愛(オフィスラブ)222ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
神凪愁生(31)  軽薄そうに見せかけて誰にも本心を見せない ミステリアスな副操縦士 × 椎名芽唯(26)  恋心も女心も封印して整備に明け暮れる つれない航空整備士 不本意な合コンで出会った彼は 職業を偽って女性を愚弄する 最低なパイロット そんな彼に弱みを握られてしまった私は 『条件がある。俺の女になれ』 一方的な条件を突きつけられ 公私ともに振り回される羽目に…… 勝手で謎めく求愛に反発しながらも その心の奥底にある純真に触れた時 知りたい欲求はいつしか好意を通り越し―― 魅惑なパイロットに恋せずにはいられない 🛩―――――――――――――🛫 2022.11.12  完結公開 ✈️―――――――――――――🛬

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop