恋に落ちるなら君がいい
「お前なんか俺の娘じゃないっ‼このまま出てってくたばれっ‼」
罵声と共に凶器で殴られたかのような重いビンタ。
左頬が一瞬で手の跡のまま腫れ上がった。
「切りたきゃ縁なんかこっちから切ってやるわよっ‼
あんたなんか親でもないっ‼
私もあんたの子供じゃないっ‼
私は…
産むからっ‼
反対するならもう二度とあんたなんかに会わないし
娘はいなかったと思えばいいっ‼」
両親に啖呵をきって
縁を切って
小さな学生鞄一つ分の荷物だけを持って
私は高校も辞めて
全部捨てて
慧のもとへと行ったんだ。
そう。
それは冬の始まりで
私のお腹には
新しい命があった。