恋に落ちるなら君がいい
久しぶりに
その顔を見て
触れたい。
そう
思ったのと同時に
頭で考えるよりも先に
この腕が勝手に
彼女を抱きしめていた。
「し、社長…っ⁈
どうされたんですかっ?」
驚く彼女の声が1番近い耳元で聞こえて
初めて
抱きしめるという行為の意味を知った。
人が誰かを抱きしめたい時
それは
そうしたい相手を誰よりも
1番近くに感じたいから。
「澪、君のことが好きなんだ。」
耳元で小さく囁いたはずの声は
周囲に洩れていたらしく
俺の言葉と共に黄色い歓声が響き渡る。
「楓さん… こんな場所でズルいです。」
少し怒ったような口調。
そう、俺はズルい。
この場所なら、俺の妻である以上、彼女は滅多な行為なんてできないのを知っていた。
だから
ここに来た。