お猫様が救世主だった件につきまして
「あなた様にも生活があり、馴染んだ場所馴染んだ人々より突然切り離され、このように見知らぬ世界へ連れ去られた胸中はいかばかりか。大変申し訳なく思います……ですが、ひとつの国が消滅してしまう危機に瀕しているのです。あなた様に協力いただくだけで、この国は救われる。どうかお力添え願えませぬでしょうか?」
「無理無理! どう考えてもこんなガキをバトルに駆り出すなんざ、負けにいくようなものだろ」
また、あの失礼なアレクが横やりを入れてきた。司祭長が真剣に頼んでいる最中なのに、あまりに失礼過ぎるし。はなからあたしをあてにしてないと言い切られれば、カチンとくる。
「ちょっと、あんた! さっきから何よ、あたしをバカにして! ダメかどうかはやってみなきゃわかんないでしょうが」
腰に手を当てて睨み付けるあたしに、ほお? とアレクは意地悪に笑う。
「威勢だけはいいな。じゃあ、この場で試してみるか?」
「えっ……」
まさか売り言葉に買い言葉でそんな答えが返ってくるなんて思わなかった。バトルというからには戦わなきゃならないんだろうけど、魔法とか何か手段があると思ってただけに。唐突な提案に狼狽えるしかない。
だいたい、あたしはアンナさんに話したように、自分の身すら守る自信もないのに。国を賭けて戦うなんて大それたことが出来るはずない。
どうにか逃れようとあれこれ思案してる最中、アレクと話してたアンナさんがため息をつくのが見えた。