お猫様が救世主だった件につきまして
お……重い!
アクスティア王国?なんだそれ!? って聞いたことがない国名に首を捻る前に、いきなりそんな切迫した事情を聞かされた上に“あなたがお救い下さるおかたです”……って。一体何の冗談ですか!?
「あ……あの、何のお話ですか? あたしはただの女子高生で特技もないし……自分の身を守ることだって怪しいのに」
「いいえ。殿下の切なる願いに応え、異なる世界より光の門を通り現れた……。あなた様以外はあり得ません」
胸の前で両手を組んだ女性はこの上ない真剣な面持ちで、あたしにそう話す。とても冗談には見えない眼差しと声音に、彼女は真面目に言ってるのだと認めるしかない。
だけど……聞き捨てならない単語があってあたしは彼女へ問い質す。
「あの……異なる世界より光の門を通って……って。いったいどういうことなんですか? あたしは日本のゲーセンにいただけなんですけど」
「ニホン……やはりあなた様はそちらからやって来られたのですね」
そう話した女性は顔を伏せると祈るように両手を組み直し、額の前で指を動かした。
「……神よ、ありがとうございます。あの人の努力は無駄になりませんでした」
いったいなんのことか、と訊こうとした時。違う方角から違う声が響いた。
「なんだ? もっと美人かと思えば……ずいぶん平坦な顔のちんちくりんの子どもじゃないか。本当にこんなのが救い手なのか?」