御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
彼が微笑んだかと思った瞬間、柔らかい感触が唇を塞ぎ、何度も表面をなぞるだけのキスが落とされる。
「あ……。ん……」
息が漏れるたび、彼の息も熱くなっていく。
「理咲……。まだあなたの気持を聞いていない。火事の時には情熱的な告白をしてくれたけど、はっきりした言葉で、ちゃんときかせて。あなたの気持ちを……」
指で唇をなぞりながらじっと見つめられ、それだけで胸がいっぱいになった。
「あ……」
早鐘のように打つ心臓はこれ以上速くは打てないと悲鳴を上げている。と同時に、彼を愛しいと思う気持ちが胸にあふれて、たまらなくなった。
「理咲?」
その人のことを考えると、切なくて、苦しくて、でも幸せで。いてもたってもいられなくなる。
きっと自分のことよりも大切で、誰よりもそばにいてずっと見ていたと思ってしまう。
こんな気持ちを抱いたのは初めてのことで……。でもそれがきっと……。
「怜人、あなたを愛してる」
そうささやいて、私は彼のきれいな唇にキスをした。