御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
そこまで言ったところで、怜人さまにそっと体を押し倒された。一瞬恐怖で体がこわばったものの、すぐに優しい青い瞳が私を見つめているのに気づき、少し安心する。
「もしかして、キスも僕としたのが初めてだった?」
そう真顔で聞かれ、恥ずかしくて怜人さまの顔を見ていられない。
両手で自分の顔を塞ぎながらやっとの思いでうなずくと、私の隣に横になった怜人さまが私の頭をそっと持ち上げ、腕枕で抱き寄せる。
「あなたってひとは……。どこまでも僕を翻弄するんだな」
「あの……。ごめんなさい」
「謝らないで。とても嬉しいって意味だから。でも、これでますます目が離せなくなってしまったな。誰かに奪われる前に、なんて思ってしまうけど、そんなことをしてあなたを怖がらせたくはないし……。時間をかけてゆっくり進めましょう。僕もその方が嬉しい」
私の髪を掻き上げていた長い指が、頬をすべる。
優しく輪郭をなぞって唇にたどりつき、親指で幾度もなでると、全身の力が抜けてうっすらと口を開いてしまう。