御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


緊迫した空気の中、第二秘書のクラウディアがお茶をだして退出すると、可憐さんの父親である京極氏が口を開く。


「まったく、いったいどういうことなんですか!娘からは『怜人さんとうまくやっている』とメールが入っていたから安心していたら、ニューヨークに旅行していた家内がカフェでバッタリ可憐に会ったんです。問いただしても要領を得ないし、なにか様子がおかしいと思えば妊娠してるっていうじゃないですか!」


京極氏が語気を荒立てて食って掛かる横で、可憐さんは虚ろな目をしてうつむいている。

昨日あれから何度も可憐さんにメールを送ったものの返信は無く、今日こうやって二か月ぶりに再開しても、可憐さんは私と目も合わせてくれない。

華やかな金髪の巻き毛は黒髪のショートカットになり、長くきらきらとしていたネイルは無理やりのように痛々しく削られている。

何より完璧に施されていたメイクが取り払われ、大きな二重だったはずの目は切れ長の一重まぶたで、私の印象とは全く別人だ。

< 183 / 242 >

この作品をシェア

pagetop