御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


その乱暴な振る舞いに、思わず駆け寄って彼女を助け起こす。

一瞬みんながハッとした空気を感じたけれど、そんなことを構ってはいられなかった。


お腹に赤ちゃんがいる女性にこんな振る舞い……。しかも血がつながった父親のやることとは思えない。


「なんだね、君は……。余計なことはしないでくれないか」


「可憐さんのお腹には赤ちゃんがいるんですよ?乱暴なことをするのはやめてください」


可憐さんを抱き起しソファに座らせると、そこで初めて彼女と目が合った。

久しぶりに会った可憐さんの顔は初対面のときとはまるで別人だけど、黒い瞳の美しさは変わらない。

その瞳は私に対する後ろめたさで揺れているものの、わが子を守ろうとする必死さが切ないくらい伝わってくる。


可憐さんと出会って身代わり秘書をやるよう頼まれた時、『こんなことがばれたら、絶対子供が始末される』と言い切った可憐さんの言葉が、真実味を帯びてよみがえった。

今目の前にいる彼女の父親なら、きっとそんな残酷なことも平気でやってのけるだろう。

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