御曹司は身代わり秘書を溺愛しています


「なんだね、君は。だいたいさっきから、なんでそこにいる?関係のないものは、出て行ってくれないか」


そう威圧的に言い放つ京極氏に向かい、怜人さまのお父様が揶揄するように言った。


「そうもいかない。彼女はこの件で最も重要なキーパーソンですよ。京極さん、彼女は怜人の秘書です。いうなればお嬢さんの身代わりになっていたと言ってもいい」

「なんだとっ……」


「彼女が京極家の令嬢だと怜人も私も騙されていたんです。だから今日まで、あなたのお嬢さんがニューヨークにいるなど、こちらも全く知らなかった。あたなもお嬢さんに騙されていたんでしょうが、こちらもこのふたりのお嬢さんに完全に騙されていたんですよ」


「本当なのかっ、可憐っ」


「失礼ですが僕の方で調べさせてもらいました。いや実は二週間ほど前、知人から怜人の女性関係について進言がありましてね。僕は普段あまり彼のプライベートに関しては口出ししないんですが、お宅との縁談は外交筋からの紹介でもありましたし……。お嬢さんのお相手は、ニューヨーク在住のミュージシャンの卵のようですね。ジュリアードに留学していた、中々の才能の持ち主らしいですよ」


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