御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
さっきまでの修羅場からはまるで想像もつかない大団円にちょっと拍子抜けするけれど、それもみんな怜人さまのお父様のプラン通りなのだろう。
彼はさっき、『お前が犠牲になるなら、みんな助けてやる』と私に視線だけで告げた。
あの人の心を操る不思議な力は、怜人さまにも共通するものだ。
だからさっき私は、彼の思惑通りに動いた。いや、厳密にいうと、私の希望とウィリアム氏の望みが一致したと言った方がいいのかもしれない。
彼は会社と息子の名誉を守りたかったし、私は怜人さまと可憐さんのお腹の赤ちゃんを守りたかった。
大臣と懇意に付き合いがある京極家とも、日本でビジネスを展開する『Teddy 's Company』としては争いを避けたいに違いない。
すべては彼の計算通りに進んだということだろう。
『色々迷惑をかけてごめんなさい。それに、本当にありがとう』と可憐さんはいい、私たちは通話を終えた。
これで私たちの契約は終わり。身代わり秘書と身代わり婚約者候補の役目は、完全に終わった。
私と怜人さまとの関係にも、ひとつ区切りがついたと言える。