御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
可憐さんとの通話を終えた途端、またスマホが振動した。見ると、今度は六車さんからだ。私は慌てて液晶をタップした。
『理咲さん!……よかった、無事なんですね』
六車さんの安堵した口調で、あんな風に飛び出して心配をかけてしまったことに気づき、申し訳なさに言葉が詰まる。
「すみません、ご心配をおかけして」
『本当にそうですよ。今までいったいどこにいらしたんですか。怜人さまがどれほど心配されているか……。もう、見ていられないほどです』
六車さんが口にした怜人さまの様子に、胸が錐で突かれるように痛む。
けれど、私と怜人さまとは、もう以前のようには過ごせない。
何よりも、彼のお父さんに反対されていることが、超えることのできない障害に思えた。
『理咲さん……聴こえていますか?』
「はい、聴こえています。すみません」
そう慌てて答えると、受話器の向こうでホッとしたような六車さんのため息が聞こえる。
『想像以上にしっかりされていて安心しました。今回のあなたの機転には、ウィリアムさまも非常に感謝されています。理咲さん、そのお礼も兼ねて、ウィリアムさまがあなたに会って話がしたいとおっしゃっています。……会っていただけますか』