御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「怜人……。あなたがやらなくてはいけないことは、私と一緒にいることだけじゃないでしょう?父の会社の再建を約束してくれましたね。父の研究を活用して病に苦しんでいる人を救うことは、あなた無しではきっと実現しないでしょう。……それに一度本国に帰り、お父様の後継ぎとして家を守るための足場を固める必要もあるでしょう」
「あなたのお父さんの会社のことはともかく、何故あなたが家督の心配を?父に何か言われたんですね。もうたくさんだ。僕はあなたと、愛する人といたい。母が亡くなってずっとひとりきりで生きてきた。ようやく出会えた最愛の人と一緒にいたいと思うことは、そんなにいけないことですか」
激しく苛立った様子で怜人が視線を向ける。
美しく、激しい。そして誰よりも優しい彼を、心の底から愛しいと思う。
その唇に、自分から口づけた。唇を離したあと微笑むと、激しく憤っていた眼差しが静かになる。
誰よりも大切な、私の宝物。