御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
「待っています。だから、あなたはあなたのやるべきことをしてください。……レイチェルの吹聴で、私とあなたのゴシップが本国の貴族社会で流布しているそうです。まずはその噂を払拭するだけの働きをして欲しいというのが、お父様の考えです」


「あの世界をあなたは知らないんだ。簡単によそ者を受け入れる社会じゃない。僕だってパブリックスクールでの最初の何年かは大変だった」


「だけど数年でトップまで登りつめたのでしょう?あなたならできると、お父様もおっしゃっていました。そのための手助けをしたいとも。自分の時に味方はいなかったけれど、あなたには自分がいると」


体を起こした怜人の、切なさにあふれた眼差しにとらえられる。


「あなたは……ひどい人だ」


そうつぶやいた怜人の指が、私の頬を滑る。


「だけど、僕以外に僕を動かせる人は、世界中であなたしかいない」
















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