御曹司は身代わり秘書を溺愛しています
……元気でいてくれればいいなんて、嘘だ。
本当は会いたい。力強い腕に抱かれて、私を捉えて離さないあの瞳に見つめられたい。
彼の吐息も香りも、すべて私だけのものにしたい。
そんな考えが浮かび、切なさで胸が張り裂けそうになった。
ダメだ。しっかりしなくちゃ。彼も今、きっとひとりで頑張ってくれている。
そう自分に言い聞かせると、聞き分けのない想いを断ち切るように髪をひとつに束ねる。
そしていつものように、急ぎ足で店へ向かった。
それから一週間ほど経ったある日、私は久しぶりに都内へ出かけていた。
百貨店からうちの商品をイベントに出したいという話があり、その打ち合わせも兼ねての会食だ。
場所は都内の五つ星ホテル。
以前、怜人が連れてきてくれた、ロンドンにもあるというヨーロッパの老舗ホテルだ。
怜人と出かけたレストランではなく、もう少しカジュアルなカフェでの打ち合わせを終え、エレベーターに乗り込むと、グランドフロアで扉が開く。
すると、エレベーターホールで外国人の男女が抱き合っているのが目に入った。