デジタルな君にアナログな刻を
朝一番に訪れた、季節はずれの台風のような騒動が去った後の『薗部時計店』は、穏やかに今年最後の営業を終えた。
シャッターの外に店長が用意した休業期間のお知らせと紙門松を貼ると、一気にお正月ムードが増す。
ショーウィンドウには新たな時計が飾られている。年末年始、この前を行き交う人たちに少しでも晴れやかな気分になってもらいたくて、インデックスに誕生石を模した12色のラインストーンがはめられたレディースウォッチと、子どもに人気のアニメキャラクターの目覚まし時計を並べてみた。
暖かい店内に戻り閉店の作業を終える。左手の使えない店長に店番を一任して、昼間は事務室の掃除にも専念できた。大掃除というには少し物足りないけれど、やらないよりは気分がいい。
「円ちゃん、お疲れ様」
今年一年の労をねぎらうように、淹れたてのコーヒーが差し出される。
「お疲れ様でした」
コーヒーのカップで乾杯した。
「それにしても、びっくりしました。高校生のフィアンセがいたなんて」
甘いコーヒーを飲みながら、口調は苦くなる。まさかとは思うけれど、一応確認しておきたかった。
「その縁談を断るために、わたしに、その……したんじゃ、ないですよね?」
「あれは顕義おじさんひとりが先走ってるだけだよ。婚約なんてしていないから安心して」
そんなこと言われても、やっぱり気になる。店長とは恋人同士になったばかり。昨日の今日のことで、実感なんてまだもてないところへ降って湧いた話なのだから。
「百音ちゃんのお父さん以来、本家には男子が生まれていなくてね。どうせ婿を取るならって、独り者の僕に白羽の矢が立てられたわけ」
何度聞いても異世界の話のようだ。昨夜から、夢を見続けているのではないかと錯覚しそうになる。
シャッターの外に店長が用意した休業期間のお知らせと紙門松を貼ると、一気にお正月ムードが増す。
ショーウィンドウには新たな時計が飾られている。年末年始、この前を行き交う人たちに少しでも晴れやかな気分になってもらいたくて、インデックスに誕生石を模した12色のラインストーンがはめられたレディースウォッチと、子どもに人気のアニメキャラクターの目覚まし時計を並べてみた。
暖かい店内に戻り閉店の作業を終える。左手の使えない店長に店番を一任して、昼間は事務室の掃除にも専念できた。大掃除というには少し物足りないけれど、やらないよりは気分がいい。
「円ちゃん、お疲れ様」
今年一年の労をねぎらうように、淹れたてのコーヒーが差し出される。
「お疲れ様でした」
コーヒーのカップで乾杯した。
「それにしても、びっくりしました。高校生のフィアンセがいたなんて」
甘いコーヒーを飲みながら、口調は苦くなる。まさかとは思うけれど、一応確認しておきたかった。
「その縁談を断るために、わたしに、その……したんじゃ、ないですよね?」
「あれは顕義おじさんひとりが先走ってるだけだよ。婚約なんてしていないから安心して」
そんなこと言われても、やっぱり気になる。店長とは恋人同士になったばかり。昨日の今日のことで、実感なんてまだもてないところへ降って湧いた話なのだから。
「百音ちゃんのお父さん以来、本家には男子が生まれていなくてね。どうせ婿を取るならって、独り者の僕に白羽の矢が立てられたわけ」
何度聞いても異世界の話のようだ。昨夜から、夢を見続けているのではないかと錯覚しそうになる。