デジタルな君にアナログな刻を
12月に入った日曜日のホームセンターは大盛況。クリスマスや年末年始の買い物に来た家族連れなどでごった返している。
広大な敷地で駐車場の空きを見つけるのも一苦労し、誘導員のおじさんの指示に従ってようやく停められた場所は、店舗入り口からかなり離れた場所になってしまった。
再びコートを着た店長と並んで歩くわたしは、周りからどういう関係に見られているのだろう。もう少し小綺麗な格好をしてくればよかったかな、などと余計なことがよぎった頭を振る。
ただの店主と従業員。それ以外に何だというの?
「ごめん。歩くの速い?」
一歩分遅れてしまったわたしを気遣って、店長が足を止めた。通路の真ん中で停止したわたしたちは、当然通行の妨げとなる。大きなショッピングカートが、次から次へと押し寄せて引かれそうになった。
「危ないよ」
まったく危機感のない間延びした声に反して、強い力で引っ張られる。店を行き来する人の波を避け端に寄ったわたしの右手は、店長の左手に繋がれていた。
「スゴい人。明日にした方が良かったかな」
独りごちてそのまま店内へと進もうとするから、思わず右手に力を入れて引き留める。
「わたしたちも、カートを使った方がいいんじゃないですか?」
きっと荷物もいっぱいになると思うし、なによりこの手は離さなければいけなくなるはず。近隣の市内外から人が集まるホームセンターでこの状態は、ちょっと困る。
「あ、そうだね」
だけど、そう言ってカートを取りに行く店長にあっさりと離されたわたしの手は、一瞬行き場を見失う。空っぽになった手を握るとまだ感覚が微かに残っているような気がして、包むように左手を重ねた。
「うわあっ!あれ?」
聞き覚えのある奇声に意識を引き戻される。焦って見渡した先に、大きなカートに振り回されて右往左往している店長がいた。大急ぎで駆け寄って、ふらふら動くカートを捕まえる。
「なにをやってるんですかっ!」
「だってこれ、車輪の動きが変で、真っ直ぐ進まない」
本気で困った顔を向けられ、こちらも本気で呆れた。確かにスムーズではないけれど、大人の男性が取り扱いに苦労するほどのものじゃないでしょう?
この人、本当に三十過ぎ?世間一般のアラサーってみんなこんななの?充とやってることが変わんない。それとも、男子って何歳になってもこんななのかな……。
「もう、いいです。わたしがやりますから」
まだ空っぽのカートを押して店内を進み始めた。
広めにとってあるはずの通路も人やカートでいっぱい。油断すると、小さな子が足下をうろちょろしていてカートとぶつかりそうになる。その度に、網籠の部分に手を添えた店長が舵を取って避ける。奇妙な連係プレーで、目的の売り場へと辿り着いた。
広大な敷地で駐車場の空きを見つけるのも一苦労し、誘導員のおじさんの指示に従ってようやく停められた場所は、店舗入り口からかなり離れた場所になってしまった。
再びコートを着た店長と並んで歩くわたしは、周りからどういう関係に見られているのだろう。もう少し小綺麗な格好をしてくればよかったかな、などと余計なことがよぎった頭を振る。
ただの店主と従業員。それ以外に何だというの?
「ごめん。歩くの速い?」
一歩分遅れてしまったわたしを気遣って、店長が足を止めた。通路の真ん中で停止したわたしたちは、当然通行の妨げとなる。大きなショッピングカートが、次から次へと押し寄せて引かれそうになった。
「危ないよ」
まったく危機感のない間延びした声に反して、強い力で引っ張られる。店を行き来する人の波を避け端に寄ったわたしの右手は、店長の左手に繋がれていた。
「スゴい人。明日にした方が良かったかな」
独りごちてそのまま店内へと進もうとするから、思わず右手に力を入れて引き留める。
「わたしたちも、カートを使った方がいいんじゃないですか?」
きっと荷物もいっぱいになると思うし、なによりこの手は離さなければいけなくなるはず。近隣の市内外から人が集まるホームセンターでこの状態は、ちょっと困る。
「あ、そうだね」
だけど、そう言ってカートを取りに行く店長にあっさりと離されたわたしの手は、一瞬行き場を見失う。空っぽになった手を握るとまだ感覚が微かに残っているような気がして、包むように左手を重ねた。
「うわあっ!あれ?」
聞き覚えのある奇声に意識を引き戻される。焦って見渡した先に、大きなカートに振り回されて右往左往している店長がいた。大急ぎで駆け寄って、ふらふら動くカートを捕まえる。
「なにをやってるんですかっ!」
「だってこれ、車輪の動きが変で、真っ直ぐ進まない」
本気で困った顔を向けられ、こちらも本気で呆れた。確かにスムーズではないけれど、大人の男性が取り扱いに苦労するほどのものじゃないでしょう?
この人、本当に三十過ぎ?世間一般のアラサーってみんなこんななの?充とやってることが変わんない。それとも、男子って何歳になってもこんななのかな……。
「もう、いいです。わたしがやりますから」
まだ空っぽのカートを押して店内を進み始めた。
広めにとってあるはずの通路も人やカートでいっぱい。油断すると、小さな子が足下をうろちょろしていてカートとぶつかりそうになる。その度に、網籠の部分に手を添えた店長が舵を取って避ける。奇妙な連係プレーで、目的の売り場へと辿り着いた。