デジタルな君にアナログな刻を
少しずつ締めの作業に取りかかる。
今日はあの時計が売れた以外にも、電池交換で預かった時計がふたつあった。ひとつは店長でもできるものなので、お返しが休み明けになってしまうことを了承してもらい、預かり証を切ってある。
もうひとつは、この店では交換ができない完全防水の時計。メーカーに送る事になる上に年末年始で、返却の時期が通常よりもかなり遅くなると伝えると、サラリーマン風のお客様は少し考えていたけれど、結局お預かりすることになった。
『もし予定よりも料金がかかるようなら、見積もりを出してもらって連絡する』
預かり証に間違いがないか、追記を何度も確かめる。店長はイベント後、店には戻ってくるのだろうか。途中で捕まえて伝言する暇はあるのか。
自分がするべきことを頭の中で整理しながら、掃除を続けていた。
ガラスを拭こうと窓に手をかけた時、ロータリーのツリーに電飾が灯る。師走の町を足早に通る人たちも一旦足を止め、視線を夕闇に現れたキラキラのクリスマスツリーに注ぐ。
一年のうちの僅かな期間だけ見ることができる、真冬の夢。
人々が束の間の幻想に浸る中、至るところに設置された照明に浮かんで目立ち、絶えず動いている赤いはっぴ。その中に、やはり店長はいないようだ。本部テントかどこかに籠もっているのかもしれない。
前のめりで凝らして見ていたロータリーから腕時計に目を移してみれば、閉店まであと一時間を切っていた。
掃除は終わった。元々それほど動きのないレジの締めも大丈夫。届いた郵便物や宅配便も、急ぎっぽいものから順に並べてある。
あとは自動ドアのスイッチを切りシャッターを閉めて、戸締まりをするだけなんだけど……。もう一度腕時計で確認しても、18時まではあと8分残っていた。
きっちり閉店時間まで待つか。少し早いけど閉めてしまうか。どうする?
時計の数字と賑やかさを増す表を見比べ、迷いに迷う。そのわたしの耳にマイクテストの音が届いて決意した。うん。今日はもう、閉店!!来るはずはないお客様に、心の中で謝罪する。
ガラガラと耳障りな音を立てながらシャッターを閉めた時刻は、午後5時58分。
戸締まりを何度も確認して、最後にセキュリティのスイッチを入れる。朝とは逆の順番をこなすのは、初めての経験だった。
今日はあの時計が売れた以外にも、電池交換で預かった時計がふたつあった。ひとつは店長でもできるものなので、お返しが休み明けになってしまうことを了承してもらい、預かり証を切ってある。
もうひとつは、この店では交換ができない完全防水の時計。メーカーに送る事になる上に年末年始で、返却の時期が通常よりもかなり遅くなると伝えると、サラリーマン風のお客様は少し考えていたけれど、結局お預かりすることになった。
『もし予定よりも料金がかかるようなら、見積もりを出してもらって連絡する』
預かり証に間違いがないか、追記を何度も確かめる。店長はイベント後、店には戻ってくるのだろうか。途中で捕まえて伝言する暇はあるのか。
自分がするべきことを頭の中で整理しながら、掃除を続けていた。
ガラスを拭こうと窓に手をかけた時、ロータリーのツリーに電飾が灯る。師走の町を足早に通る人たちも一旦足を止め、視線を夕闇に現れたキラキラのクリスマスツリーに注ぐ。
一年のうちの僅かな期間だけ見ることができる、真冬の夢。
人々が束の間の幻想に浸る中、至るところに設置された照明に浮かんで目立ち、絶えず動いている赤いはっぴ。その中に、やはり店長はいないようだ。本部テントかどこかに籠もっているのかもしれない。
前のめりで凝らして見ていたロータリーから腕時計に目を移してみれば、閉店まであと一時間を切っていた。
掃除は終わった。元々それほど動きのないレジの締めも大丈夫。届いた郵便物や宅配便も、急ぎっぽいものから順に並べてある。
あとは自動ドアのスイッチを切りシャッターを閉めて、戸締まりをするだけなんだけど……。もう一度腕時計で確認しても、18時まではあと8分残っていた。
きっちり閉店時間まで待つか。少し早いけど閉めてしまうか。どうする?
時計の数字と賑やかさを増す表を見比べ、迷いに迷う。そのわたしの耳にマイクテストの音が届いて決意した。うん。今日はもう、閉店!!来るはずはないお客様に、心の中で謝罪する。
ガラガラと耳障りな音を立てながらシャッターを閉めた時刻は、午後5時58分。
戸締まりを何度も確認して、最後にセキュリティのスイッチを入れる。朝とは逆の順番をこなすのは、初めての経験だった。