呪われ姫と強運の髭騎士
「……たまには庶民の風呂でも経験してみるかな」
僕は自分の荷物から手拭いを出すと、部屋を出た。
アニエスの脇を通り過ぎた際に彼女と視線が合う。
気恥ずかしそうに、ほどいた髪を弄る彼女が幼く見えた。
自分は自分で考えていたより単純なんだと思った。
たったそれだけのことなのに、この修業の旅も悪くない、と思うなんて。
一時のことかも知れないけど。いや――一時のことなんだろうな。
やっぱり次の日も、同じように扱き下ろされるセヴランで
その日も、アニエスの湯上がりの姿を見てそう思うという、学習能力のないセヴランであった。
僕は自分の荷物から手拭いを出すと、部屋を出た。
アニエスの脇を通り過ぎた際に彼女と視線が合う。
気恥ずかしそうに、ほどいた髪を弄る彼女が幼く見えた。
自分は自分で考えていたより単純なんだと思った。
たったそれだけのことなのに、この修業の旅も悪くない、と思うなんて。
一時のことかも知れないけど。いや――一時のことなんだろうな。
やっぱり次の日も、同じように扱き下ろされるセヴランで
その日も、アニエスの湯上がりの姿を見てそう思うという、学習能力のないセヴランであった。


