伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます


「魔力が強い人間は一般に老けにくいのです」

そう言ったのはデイモンで、「彼女は私と出会ったころとそう変わらない姿をしています。これではあまり人目にさらしたくないのも分かるでしょう?」と続けた。

たしかに、この美貌では多くの貴族が愛妾にと望むかもしれない。そして彼女の美貌の変化の無さにいずれ恐怖を抱くだろう。

魔女を隠すことの意味を知った気がして、ドロシアはうつむく。
彼女はドロシアを見つめてほほ笑むと、彼女の手を取り、まじないの言葉をつぶやいた。


「今のは?」


ドロシアが尋ねると、魅惑的に微笑む。


「祝福です。……あなたとオーガスト様の未来に、幸せが訪れますように」


手がホワンと温かくなった気がして、ドロシアはオーガストを振り返った。
彼はとび色の瞳に穏やかな温かみをのせ、ドロシアを優しく見つめている。ドロシアが心をこめて「ありがとう」とクラリスの手を握り返すと、彼女もまた嬉しそうに微笑み、祝福の文言を締めくくるように厳かにつぶやいた。


「オーガスト様、あなたが愛する方と出会えたこと、本当にうれしく思っています」



 
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