伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「……こっちにおいで」
連れられてベッドに腰かける。緊張で言葉少なになってしまったドロシアに、オーガストが笑いかけた。
「緊張するよね。改まってこんなの」
「はい」
「僕も緊張してる。ほら」
右手を、オーガストの夜着の胸のあたりに押し付けられた。たしかに、どきんどきんと激しい脈動がドロシアの手にも伝わってくる。
「……こんなとき、どうしたらいいんでしょう」
「こんなときって?」
「す、好きな人と、初めての夜を迎えるのに、私、どうしたらいいのか全く分からないの。あなたにあきれられてしまうかもしれないわ」
「それは僕のセリフだな。君に嫌われないかどうか、心配で落ち着かないくらいなんだけど」
そこで、ついばむようなキスが落ちてくる。
「だけど、そんな余裕も今無くなってきた」
「え?」
腕を掴まれ、どさりとベッドに倒される。柔らかいクッションを背中に感じながら、彼の唇が、何度も重なりどんどん深くなっていくのを、ドロシアは徐々に息を荒くしながらも受け止めた。
「かわいい、ドロシア。かわいすぎてこっちがおかしくなりそうだよ」
枕もとのランプが消される。部屋を照らすのは窓から差し込む月明かりだけで、しかしそれがオーガストの表情に影をつくり、いっそ色気を醸し出していた。