伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「あっ、やっ……」
しかし体を貫くような痛みは予想以上のものだ。
ドロシアが声を漏らした瞬間、「あっ」とオーガストも声を上げた。
痛みはすぐに消え、固くつぶった瞼をそろそろと開ければ、目の前のオーガストからは毛がのび、見る見るうちに猫化していった。
「ここででるかぁ……今日は多すぎる」
ふわふわの毛並みになったオーガストは、ドロシアの胸に突っ伏した。
興奮していたドロシアもさすがに我に返り、彼の背中を撫でる。
「お、オーガスト様。大丈夫ですか? 疲れてしまったの?」
「……もう心臓が止まりそうだよ。君がかわいすぎて。……もっと抱いていたかったのに。ごめん。こんな男が夫だなんて」
「いえ。大丈夫。……うん、大丈夫です」
確かにほんの少し残念だったとも思うが、どこかホッともしていた。
破瓜の痛みは予想以上で、甘く溶かされた体も一瞬でこわばった。普通ならばそれでも、自分だけが痛みと戦ったと思いながら、最後までいってしまうのだろう。
でもオーガストも、緊張して、心を砕いてくれているんだ。
彼が猫になったことでそんなことを実感するなんて不思議だけれど、ドロシアはなんとなく安心した。
ドロシアは猫のオーガストに提案する。
「このまま寝ませんか? 一緒に」
「でも。今の僕は猫だよ」
「だから私が抱っこして寝ます」
嬉しそうなドロシアに、オーガストは顔を伏せ、尻尾を垂らして呟いた。