伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「せめて国王様の誕生祭には行けるようにするよ。デイモンとも話し合ってみる」
「その時に父も来るかもしれないんです。そこで会うくらいなら、いいですよね?」
「そうか。ではきちんと挨拶しないとな」
オーガストの優しい笑みに、ドロシアはホッとした。
「では父へ返事を書きます」と立ち上がりウキウキと部屋を出る。
外にはデイモンが控えていて、話を聞かれていたのかとドロシアは挙動不審になってしまった。
デイモンはにっこりと笑うと、「お父上に返事があるなら、次に私が出る時にもっていきますよ」といい、「ドロシア様が誕生祭に一緒に行くのは賛成です」と付け加えた。
やっぱり聞いていたのか、と思いつつ、その返答が好意的だったことに前のめりになった。
「本当ですか?」
「最近の猫化は頻繁過ぎますので、ごまかすにも人手がいります。まして、あなたは彼の奥方だ。いざというときに代理で立っていただけるのは大きいです」
「では、いいのですか?」
「それまでにご懐妊されたら話は別ですけどね」
デイモンは何の気なくそう言って、執務室へと入っていく。
ドロシアのほうは軽く胸に釘を打たれた気分で、ため息をついた。
「子供……ね。どうしてできないのかしら」
まだぺたんこのままのお腹を軽くたたく。
あれから、数えきれない程ふたりは夜を重ねた。もちろん、一度だって避妊などしていない。
時期的にももう妊娠の兆しがあってもいいのに、と誰もが思っているだろうに、その兆候はまったく見られない。月のものは嫌になるほど順調にやってくる。