伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます


国王との謁見は、意外とあっけないものだった。

後ろからついてきたデイモンが、祝いの品を係りの者に預け、オーガストとドロシアはそろって国王夫妻の前に歩みでて、お祝いの言葉を述べる。国王の返事を聞いたら顔をあげ、もう一度頭を下げてその場を辞す。

それも着いた貴族から順番に行われるので、前の人の所作をまねれば済む話だった。

ドロシアが面と向かって国王様に謁見するのは社交界デビューの時以来だった。
あの時は緊張し過ぎて、声をかけてくれた女王様のほうしか見ていなかったが、今回はしっかりと顔を上げて挨拶ができた。


「ノーベリー伯爵には、辺境地の整備にかなり尽力してもらっている。今後も彼を助けてほしい」と声をかけられ、予想よりも国王が彼を好意的にとらえていることに驚いた。


「国王様は威厳のある方ですわね」

「そうだね、鷹揚な方だよ。僕は夜会とかも出席しないから、あまり話はしないけれど。歴代の王の中でも特に細かいことを気にしないお方だね」

「辺境地の整備なんてなさっていたんですか?」

「そりゃ領主なんだから、自分の土地はするよね。僕の土地が一番北で高地だからさ。必然的に水路の整備には力が入るし金もかける。結果的に、首都に流れてくる川の氾濫を防ぐことになっているだけだよ。……さて、あとは君の父上との待ち合わせだけだな」


ほう、と息をつき、城内を足早に歩く。
とりあえず、謁見を乗り切ったことでオーガストの顔色は大分よくなっている。
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