伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます



……朝の光がまぶしい。


「ドロシア様? お目覚めですか?」


男性の声に、ドロシアはぼんやりとした意識を覚醒させた。
天井のシャンデリアが目に入り、相変わらず豪華だなぁとひとりごちる。


「今、起きるわ」

「ああ、そんなに慌てて起きなくても大丈夫ですよ。昨日は貧血で倒れたんです。覚えておられますか?」


優しい声をかけてくれるのは、金髪の側近だ。鼻筋の通った見目麗しい青年で、ドロシアを目を細めて見つめ、笑いかける。彼は、ドロシアの恋人だ。


「チェスター」

「お水をどうぞ? すっきりしますよ?」


ピッチャーからグラスに注がれた水を一口含む。うまく呑み込めなくてむせてしまったら、チェスターがすぐに背中を撫でてくれた。


「ありがとう」

「じき朝食になります。着替えをなさっていてください」


チェスターは微笑んだままドロシアの頬に優しい口づけを落として、部屋を出ていった。

ここはノーベリー伯爵家だ。
訳あって嫁いできたドロシアは、道中ずっと御者をし、守ってくれたチェスターに恋心を抱いた。

やがて屋敷について、ノーベリー伯爵に引き合わされたが、彼は形だけの結婚を望んでいて、その後は姿さえ見せてくれない。

勝手に恋人を作ってもかまわない、という夫の言葉どおり、ドロシアはチェスターと恋をはぐくんだのだ。

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