伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「大丈夫ですよ。俺だけ見ていてください」
(そうだ。彼は恋人なんだもの。優しくて頼れて……だから私は何も考えなくてよくて……)
「おや、散歩は取りやめですか?」
ニヤニヤと、玄関扉を開けて待っていたのはデイモンだ。
「ドロシア様は体調が悪そうです」
チェスターが咎めるように言うと、「ならばお休みいただくのがよろしい」としれっと言う。
「二階は人払いをしておく。お前はずっとドロシア様についていろ。ドロシア様、静かな環境でチェスターとゆっくりお過ごしください」
「え、ええ」
頬を染めながら頷くと、デイモンは満足げに笑い、チェスターの肩にポンと手をのせる。
「分かってるな」
チェスターはそれには答えず、無言で中へと入っていく。
二階にあるドロシアの寝室まで足早に向かうと、壊れ物を扱うように、そっと彼女をベッドに横たわらせた。
「ありがとう、チェスター」
チェスターは微笑んでいるが、どことなく元気がなさそうだ。椅子を持ってきてベッドの傍に腰かけ、ドロシアの額を優しくなでる。
「僕は……あなたを守るのが喜びですから」
「まあ、嬉しいことを言ってくれるのね」
「本当ですよ」
優しく、上から覆いかぶさってくる彼が唇を塞いだ。
触れるだけの優しいキスだ。なのに、なぜか体がこわばる。