伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「私、デイモンには商売の才能があると思う。人と話すことがそもそも得意だし、自分の意思を通そうとする強さもある。もし、オーガスト様がこのまま戻らなかったら、あなたは事業を始めてみたらどうかしら。貴族じゃなくても、裕福な商人なら大きな屋敷を持つことができるわ。多額の税金を払う国民を無視することは国王様にもできない。そうなれば、あなたはあなたの大切な人を守るくらいのことはできると思う。……どう?」
前に身を乗り出してそう言ったら、デイモンは泣きそうな顔で笑った。
「自分の力でクラリスを守れ、ということですね?」
「そうね。……誰かを犠牲にしなきゃ成り立たない幸福ならば、魔女狩りと変わらないわ。魔女って言っても、ここのみんなは私に優しかった。怖いと思ったのは、ビアンカに暗示をかけたときだけ。あなたのことも、ずっといい人だと思っていたけれど、チェスターと子供を作れと言われたときは怖かった。……私欲で動くとき、人も魔女も恐ろしいものに変わるのね。そう思えば、人も魔女も、変わりのないものだと思わない?」
デイモンが目を見張ってドロシアを見つめる。
「私、本当はもっと魔女の力が人に知れ渡ればいいと思うの。皆を守る、いい力として。人は力のあるものに怯えるけれど、それって得体が知れないからでしょう? 怯えや疑心が心を捻じ曲げて、理解できないものを悪だと思い込ませようとしているんだと思う。だからもっと知ってほしい。魔女たちは人を傷つけようだなんて思っていないって。その手段として、魔女の力をひとつの技術として広めていければいいと思うの。そんなビジネスを考えたらいいんじゃないかしら、デイモン」
「魔法をビジネスに?」