伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます

「そういえば、来た当初はすぐ眠ってしまっていたわ」

「屋敷自体に、新参者を排除するような魔法がかかっていたからですわ。オーガスト様自身が、自分でかけたものだという意識がないから、いつまでも解けないまま残っていたのです。でも、ドロシア様を得て、オーガスト様の心は外を向いた。この屋敷を守るより、ドロシア様を幸せにしたいと思ったのでしょう? そこに、私が魂を分離させるための魔法をかけたので、すべての魔法が一気に解けたんですわ。オーガスト様の魔力はもともと、お母さまの血の呪縛に由来するもののようですもの」

「じゃあ、今のオーガスト様は……」

「猫の魂とは分離しています。私も初めて見るケースですので、確信はできませんが、どうも魂が融合する前の状態にもどってしまっているようですね。中身は変わりないんでしょうが、外見は十七歳の状態まで戻っています」

「まあ」


心は百十七歳の、十七歳の肉体を持つ、公式には三十七歳の伯爵。
なんてアンバランスなのだろう。


「私、年上の方にお嫁入りしたつもりでしたのに」

「別に公式の年齢が変えられるわけじゃない。僕はあくまで三十七歳だよ。見た目が若返ったくらい問題じゃないだろ?」


顎を持ち上げられて、顔を覗きこまれる。

たしかに問題はないが、若返ったオーガストは、元々整った顔立ちもあってすごく綺麗なのだ。ドキドキしてしまって、ドロシアはすぐ顔が真っ赤になってしまう。

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