伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
デイモン一家が出ていくと、執務室にはドロシアとオーガストの二人きりになった。
まだ赤い顔をしたままのドロシアに、オーガストは多少のやきもちを焼きながら、抱いている腕に力を込める。
「いつまでぼけっとしているんだい?」
「だって。嬉しいんですもん」
「だったらデイモンの言葉なんか霞むくらい、僕が言い続けるよ。ドロシアは綺麗だって」
赤い髪をすくい、キスをする。すぐ近くから見つめてくるとび色の瞳に、ドロシアの胸は高鳴るばかりだ。
しかも、オーガストはそのまま、耳に、頭頂部にとキスを続けていく。おでこ、鼻、コンプレックスのそばかすのある頬。そして……
「君が、僕の一番の財産だ、ドロシア。どうか誓って。僕のこの命の終わりまで、離れず傍にいることを」
「誓います。ずっと。私の命が途切れるその瞬間までずっとあなたと一緒にいます」
誓いのキスは、唇に落ちてきた。
久し振りの人間のオーガストとの抱擁は、ドロシアに幸せな感覚をもたらせた。
止まないキスと、いくら触れても触れたりない感覚。
それはオーガストも同じのようで、唇を重ねながら彼の手はドロシアの形を確かめるように頭や肩、背中のラインを丁寧になぞっていく。
「んっ、くすぐったい、です」
それにもどかしい。布越しじゃなくて、ちゃんと確かめ合いたかった。
髪の毛一筋さえ、互いのものであることを。
オーガストは厚い吐息を耳もとに吹きこみ、かすれたような声でドロシアを煽る。
「……まずいな。もっと触りたい」
私も、とは思っても口には出せず、ドロシアは彼の次の言葉を待った。
「寝室に行こうか。ドロシア、君が欲しい。我慢も限界だよ」