伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます


ドロシアは恥じらいながらも小さく頷く。移動する間離れているのも惜しく、固く手を握りながら、執務室を出る。
ドロシアの寝室は窓が割れてしまっているので、オーガストがひとりで寝るときに使っている寝室へ入り、鍵をかけた。

ドロシアをベッドに腰かけさせ、キスを落とす。

オーガストはもどかしいとばかりにシャツを脱ぎ、若々しい肉体をさらけ出した。
もちろん何度も体を重ねたことはあるが、オーガストが若返っているので、ドロシアは変に緊張してしまう。


「余裕なくて悪いね」


性急に触れてこようとするところも、いつものんびりと構えたオーガストには珍しく、ドロシアはすぐに呼吸を乱された。


「良かった。私、もう二度とこんな風に触れてもらえないかと思った」

「僕も怖かったよ。あのまま人間に戻れなければ、……君はいつか、他の男のものになってしまうのかとね」

「それは、……ないです。私は、オーガスト様が猫でも、……好きなんですもの」

「……ドロシアっ」


耳もとで囁かれて、オーガストにかろうじて残っていた理性の糸も、プチンと音を立てて切れた。

昼日中の伯爵邸を使用人が歩き回らないわけはなかったが、その部屋に近づくものは誰もおらず、はじめは扉の外を気にしていたドロシアも、余すところなくオーガストに愛でられて、途中からそんな余裕もなくなり、甘い声を上げ続けた。

お互いの体温を交わらせて、溶け合って境界がなくなってしまうのではないかと思うほど、ふたりは思うままに愛し合ったのだ。

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