伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
*
それからひと月後、ノーベリー邸には、騒がしい来客が訪れていた。
「これは、……伯爵、ずいぶん痩せられたのでは? なんかこう以前より、若々しくなって……」
おどおどと上目遣いでオーガストを見上げているのは小太りのマクドネル子爵だ。
一緒に付き従ってきたビアンカは、怪訝そうな表情でドロシアを伺っている。
前回の帰り際とは打って変わった態度に、ドロシアは、この屋敷の魔法が解けたと同時に、ビアンカへの暗示が解けてしまったのだろうと推測した。
「そうかい? 最近調子が良くてね。妻がいるというのはいいもんだね。気持ちも若返る」
「はあ、いや、……ああ、そうですな」
マクドネル子爵はぎこちなくドロシアを見ては、機嫌をとるように歯を見えるほどの笑顔を作った。
今まで子爵はドロシアに対してはことごとく礼を欠いてきた。それがどうだろう、今のこのへつらった態度は。
(きっと、ビアンカが私が魔女かもしれないと言ったのね。それで、……彼らは国王に訴える前に、ここに様子を伺いに来たということかしら)
ドロシアは相手の出方を見るつもりで微笑み返した。子爵は、体をびくつかせ、背筋を伸ばし、何気なさを装って目をそらす。
(……完全に、怯えているわね)
もうオーガストは猫にはならないし、力の強い魔女はデイモンの屋敷へと移っている。
弱みの無くなったドロシアには悪戯心が湧いてきた。
それからひと月後、ノーベリー邸には、騒がしい来客が訪れていた。
「これは、……伯爵、ずいぶん痩せられたのでは? なんかこう以前より、若々しくなって……」
おどおどと上目遣いでオーガストを見上げているのは小太りのマクドネル子爵だ。
一緒に付き従ってきたビアンカは、怪訝そうな表情でドロシアを伺っている。
前回の帰り際とは打って変わった態度に、ドロシアは、この屋敷の魔法が解けたと同時に、ビアンカへの暗示が解けてしまったのだろうと推測した。
「そうかい? 最近調子が良くてね。妻がいるというのはいいもんだね。気持ちも若返る」
「はあ、いや、……ああ、そうですな」
マクドネル子爵はぎこちなくドロシアを見ては、機嫌をとるように歯を見えるほどの笑顔を作った。
今まで子爵はドロシアに対してはことごとく礼を欠いてきた。それがどうだろう、今のこのへつらった態度は。
(きっと、ビアンカが私が魔女かもしれないと言ったのね。それで、……彼らは国王に訴える前に、ここに様子を伺いに来たということかしら)
ドロシアは相手の出方を見るつもりで微笑み返した。子爵は、体をびくつかせ、背筋を伸ばし、何気なさを装って目をそらす。
(……完全に、怯えているわね)
もうオーガストは猫にはならないし、力の強い魔女はデイモンの屋敷へと移っている。
弱みの無くなったドロシアには悪戯心が湧いてきた。