伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
***
新緑の季節。降り注ぐ日光が木々の緑を輝かせ、花壇への水まきをしていたチェスターはまぶしさに目を細めた。
そこへ、屋敷の入口から赤毛の女の子が飛び出してくる。
「チェスター、お母さまはどこ?」
「これはアリシア様。奥様なら旦那様の執務室ではないですかね」
「また? 私にはお父様のお仕事を邪魔しちゃいけませんっていうくせに。ずるいわ」
赤毛の可愛らしい令嬢は駆け出そうとして小石に転びそうになる。チェスターは咄嗟に抱き上げた。
「危ないですよ。アリシア様ももうじき七歳。少しは令嬢らしくおしとやかになさってくださらないと」
「おしとやかってなに? ごはんをこぼさずに食べること? だったらエルマーにも言えばいいのに」
「エルマー様は男の子ですからいいんですよ」
「男だからとか女だからとか、何が違うんだか分からないわ。ジーナにもそんなことを言っているの?」
「ジーナは伯爵家の令嬢ではありませんから」
「でも女の子よ。私とおんなじ。チェスターの言っていることはよく分からない。私、もう行くわね!」
ワンピースを翻して、アリシアはさっさと走っていってしまう。
「やれやれ。大したお転婆令嬢になってしまったなぁ」
あれから、八年。
猫化の魔法が解けてまもなく、伯爵夫人ドロシアの妊娠が発覚した。
生まれた子はドロシアの赤毛を受け継ぐ素朴な見た目の少女で、アリシアと名付けられた。
更に二年後には跡継ぎとなる男児のエルマーも誕生し、ノーベリー伯爵家は安泰の一途をたどっている。
新緑の季節。降り注ぐ日光が木々の緑を輝かせ、花壇への水まきをしていたチェスターはまぶしさに目を細めた。
そこへ、屋敷の入口から赤毛の女の子が飛び出してくる。
「チェスター、お母さまはどこ?」
「これはアリシア様。奥様なら旦那様の執務室ではないですかね」
「また? 私にはお父様のお仕事を邪魔しちゃいけませんっていうくせに。ずるいわ」
赤毛の可愛らしい令嬢は駆け出そうとして小石に転びそうになる。チェスターは咄嗟に抱き上げた。
「危ないですよ。アリシア様ももうじき七歳。少しは令嬢らしくおしとやかになさってくださらないと」
「おしとやかってなに? ごはんをこぼさずに食べること? だったらエルマーにも言えばいいのに」
「エルマー様は男の子ですからいいんですよ」
「男だからとか女だからとか、何が違うんだか分からないわ。ジーナにもそんなことを言っているの?」
「ジーナは伯爵家の令嬢ではありませんから」
「でも女の子よ。私とおんなじ。チェスターの言っていることはよく分からない。私、もう行くわね!」
ワンピースを翻して、アリシアはさっさと走っていってしまう。
「やれやれ。大したお転婆令嬢になってしまったなぁ」
あれから、八年。
猫化の魔法が解けてまもなく、伯爵夫人ドロシアの妊娠が発覚した。
生まれた子はドロシアの赤毛を受け継ぐ素朴な見た目の少女で、アリシアと名付けられた。
更に二年後には跡継ぎとなる男児のエルマーも誕生し、ノーベリー伯爵家は安泰の一途をたどっている。