伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます

「そうか。君はそんな風に思うんだな。……でも、秘密を知られたら帰せなくなってしまう。そうしたら、たとえ君が嫌だと思っても僕のお嫁さんにならなきゃいけないんだよ?」


ノーベリー伯爵に本当に困ったようにしゅんとされて、ドロシアは戸惑う。


「秘密ってなんなんですか?」

「……それを言ってしまったら秘密じゃないじゃないか」

「あっ、本当だわ」


間抜けな返答をしてしまって、ドロシアは真っ赤になる。それを見ていた伯爵は、耐えきれなくなったように笑いだした。


「ははっ、あははは」


笑った顔は、普通にしているときよりも伯爵をあどけなく見せた。可愛らしいとさえ思えるその表情にドロシアはしばらく目を奪われていたものの、つと、我に返って訴える。


「なっ、そんなに笑わないでください。寝起きでちょっと頭が回らなかっただけです!」

「ああ、ごめんごめん。君は素直だな」


笑いで浮かんだ涙をこすりながら、伯爵は優しい手つきでドロシアの頭を撫でた。


「……秘密を持つこと自体、君には向いていないよ。君みたいな子を傷つけたくない。帰ったほうがいいよ」

「そんな……」

「君にはもっと若くて優しい男が似合うよ」

「伯爵様だって」


優しいわ、と続けようとしたとき、遠くからノーベリー伯爵を呼ぶ声が聞こえてきた。

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