伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます


とりあえず自分に与えられた部屋に戻り、ドロシアは普段着のドレスに着替え、髪を整えた。

ちょうどそのタイミングで扉がノックされる。


「奥様、お待たせしました。朝食の準備ができました」


部屋に入って来たのは、食事の乗ったワゴンを押した、白の調理服を着た同年代くらいの女性だった。金髪をてっぺんできゅっと丸めていて快活そうだ。目もぱっちりとしていて可愛らしい。


「えっと」

「はじめまして、奥様。私、この屋敷の厨房を任されているエフィーと申します」

「私はドロシアです。どうぞよろしくお願いいたしますわ」

「どうぞ。昨日も食べてらっしゃらないのでおなかがすきましたでしょ?」


テーブルの上に広がっていたのは、朝食のパンとスープ、それにサラダだ。
ヨーグルトに果物までついている。メルヴィル家ではついぞお目にかからない品だ。
ドロシアには素晴らしい朝食だと思えたが、エフィーは恐縮したように頭を下げる。


「食材が運ばれてくるのが週に一度なので、ありあわせのものですが。落ち込んでいるときに空腹はよくありませんわ。満腹になれば元気になります」

「私には十分贅沢な朝食よ。ありがとう」


と言って椅子に座りつつ、最後の励ましに疑問が湧く。
エフィーとは今初めて会ったのに、なぜ自分が落ち込んでいたのを知っているのだろう。

疑問を問いかけようとしたが、エフィーがニコニコ笑いながら見ているので、追及するのもおかしな気がして前の席を指さした。


< 42 / 206 >

この作品をシェア

pagetop