伯爵夫妻の甘い秘めごと 政略結婚ですが、猫かわいがりされてます
「ドロシアと食べると言ったらエフィーが飾りだしてね」
照れたように伯爵が笑う。チェスターがドロシアの手を取り、椅子まで誘導した。
「エフィーが心を込めて作った料理です。どうぞゆっくり召し上がってください」
「あ、はい」
先ほどとは違ってちゃんと服を着てくれているのでオーガストのことも観察できた。
彼はドロシアが席に着くのを見ると、スープに手を伸ばした。そこでドロシアが手を組んで朝食の前の御祈りをする。
「今日の恵みに感謝します。いただきます」
「あ、そうか。……いただきます」
バツが悪そうに笑って、手を祈りの形に組んだあと、頭をかく。
その態度はとても十五歳も年上だとは思えず、ドロシアは笑ってしまった。
「悪いね。普段はひとりだから」
「いいえ。楽しいです。やっぱりひとりで食べるのよりふたりのほうがいいわ。話し相手がいないとき、オーガスト様は何を考えて食べてらっしゃるの?」
「書類を見たり……かな。屋敷から出ないとはいえ、やることは色々あってね」
「そうなんだ。……私、お邪魔ですか?」
困ったように眉をひそめたドロシアに、オーガストは優しく笑いかける。
「いや。思えば客人がいるというのに放ったらかしにして悪かった。君が帰るまでは精一杯もてなさせてもらうよ」
「ありがとうございます」