遠い昔からの物語

「……力抜いてくれんか。そがぁに力まれちゃあ、奥まで入っていかんけん」

中尉が(うめ)いた。

わたしは、ぎゅっと(つむ)っていた目を開けた。

「ほいで、えらぁ(つえ)ぇ力で押し戻されるんじゃが……まだ、おれが(いびせ)ぇか」

「いいえぇ……うちはもう、あんたぁのこと、(いびせ)ぇないけぇ」

わたしは、中尉の目をしっかり見てそう応えた。必死だった。

彼はそんなわたしを、愛おしげにぎゅっと抱きしめ、わたしの頬に自分の頬を摺り寄せた。

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