遠い昔からの物語
ふと、思いついたように中尉が云った。
「……息を、深う吸うてみてくれんかのう」
わたしは、異な気なことじゃの、と思ったが、云われたとおりに息を吸った。
「もっとじゃ」
中尉が云う。
わたしはさらに息を吸った。
「もっとじゃ」
中尉がまだ云う。
わたしはもう限界まで息を吸っていた。
もうこれ以上は無理じゃ、と思ったその瞬間。
「よしっ、今だ……息を吐けっ‼︎」
中尉の号令が響いた。