元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

「では、すぐにでも皇帝陛下に謁見を申し込みましょう」

そんな私の言葉に、レオンハルト様はため息をついた。私、何かおかしいことを言った?

「何度も申し込んではいる。けれど、断られ続けているんだ。忙しいとか、体調が悪いという理由で」

詳しく聞いてみると、皇帝陛下は私たちが帰還した翌日は普通に提督たちの報告を聞き、これからエカベトをどう統治していくかという会議にも真面目に出席していたらしい。

出席していただけで、議論をするのは軍人と貴族たちだったというけど、まあそれは置いておいて。

戦争の後処理がひと段落したら退役しようと皇帝陛下に願い出ようと謁見を申し込んだところ、拒否されたという。その後、エカベト国王への面会も拒否され続けている。

「においますね」

人前から姿を消した、皇帝と国王。彼らにいったい何があったのか。

「まあそういうわけで……すまないな。まだしばらく退役もできなさそうだし」

「私との結婚どころじゃありませんね」

「拗ねた言い方をするなよ」

拗ねてなんかいないつもりだったけど、結果的にそう受け取られてしまっても仕方ない。

レオンハルト様の敵国の王でも親切な対応をしなくてはならないという考えは立派だと思うし同感だけど、それによって彼が新たな危険に直面してしまうのではという不安が生まれた。

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