元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

うつむいてしまうと、レオンハルト様が言った。

「アドルフの言う通りだ。お前はお前のままでいい」

たったそれだけの言葉で、気持ちが楽になる。そうだよね。女であろうが男であろうが、仲間のために働いていることには違いないんだ。好意のこもった評価は、そのままいただいておこう。

宴会はしばらく続き、私のお腹がいっぱいになった頃、レオンハルト様が立ち上がる。

「いよいよ明朝出航だ。みんな、楽しくやるのはいいが船に乗り遅れないように。ひとまず解散!」

およそ不敗の軍神らしくないざっくりした挨拶で宴会を一区切りさせたレオンハルト様。生きのいい返事があちこちで聞かれると、彼はニッと笑って会場を後にする。私はその後についていった。

「いつも宿舎には泊まらないんですか?」

レオンハルト様は昨夜から泊まっている宿屋の方へ歩いていく。

「なにせ狭いからな」

船の中でも兵士は雑魚寝している。宿舎もどうやら同じような物らしく、かろうじて少将以上の者だけ個室が与えられるとか。

「個室はあるが、今回はお前の怪我もあるし」

そんな話をしながら宿屋に戻ると、クリストフが入口で待っていた。部屋に入って私の傷に巻いた包帯を清潔なものに取り換えると、すぐに帰っていった。

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