無慈悲な部長に甘く求愛されてます
冴島さんのコートに顔を押し付けられる。うちの五倍くらいありそうな玄関で、広い腕にすっぽり包まれていた。
「あの、冴島さん」
息苦しくて顔を上げると、とたんにキスの雨が降る。
「あ、ちょっと、まっ」
おでこに、まぶたに、頬に、こめかみに。
口以外のいたるところにキスをされて、私は急に恥ずかしくなった。
どんな展開になるかわかってて付いてきたのに、むしろそれを望んでいたはずなのに。
どんどん熱を帯びてくる彼の唇からどうにか逃げ出そうともがいていたら、手に提げていた重みを思いだした。
「冴島さん!一緒にケーキ食べましょう」
彼がわざわざ買ってきてくれたフルーヴの紙袋を掲げて見せると、冴島部長は一旦私の手元を見てから目を戻した。
「……先に君を食べたい」
「!?」
心臓が破裂したかと思った。
真正面から、しかもこんな至近距離で言われたら、全身がゆだってしまう。
「で、でも」
「ここまで来たんだから、そろそろ観念しろ」
とうとう唇を塞がれて、息ができなくなった。