無慈悲な部長に甘く求愛されてます
フォークを握りしめたまま、私はむうと口を尖らせる。
確かに私は会社と家で全然違うけれど、それは冴島さんだって同じことだ。
私からフォークを取り上げて、彼はケーキを一口分すくいあげる。
イチゴのムースと酸味のきいたラズベリーのソースがふわふわのスポンジとあわさった、春を感じさせるフルーヴの新作ケーキは、冴島さんのお気に入りらしい。
そのまま自分で食べるのかと思いきや、「ん」と私に差し出す。
ためらいつつフォークにかぶりつくと、彼は目を細めてしみじみとつぶやいた。
「たまらないね」
「……なにがですか?」
じっと私を見下ろす冴島さんの、奥二重の目を縁取るまつ毛は、思った以上に長い。
「オフィスでは見られない君の顔を、俺は独占してる」
頬に手を伸ばされると、私の体はまだびくりと反応してしまう。
愛しそうに私の頬から唇に指を這わせて、冴島さんは感じ入るように言った。
「まさか、会社の子とこんな関係になるとは」