無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「本人も周りも気づいてないっぽいけど、顔が全然ちがうのよね、彼」
大学生みたいにはしゃいでいる同僚たちを眺めながら、真凛がぽつりと言う。
「え」と顔を上げる私を穏やかな目で見て、彼女は続けた。
「優しいっていうか、柔らかいっていうか。和花を見るときだけ、彼の目つきがちがう」
「そう、なの?」
指先についたマヨネーズをおしぼりでふきながら、真凛は遠い目をする。
「あれはもう、抑えようにもにじみ出ちゃうって感じね」
「にじみでる……?」
絆創膏のガーゼにじわりと染み出す血のようなものを想像して眉をひそめていると、真凛は私の顔を覗き込んで言った。
「和花がかわいくてしかたない、て感じ」
固まる私を見て、真凛は「まったく、お熱いことで」とつぶやく。
「あ、ああ見えて、彼も結構うっかり者でね。気をつけてもらわなきゃ」
恥ずかしさを紛らわすために愚痴っぽく言うと、真凛が「うん?」と首をかしげた。
「人の目があるときは、その、触るのとか、自重してもらいたくて……。昨日はたまたま見られたのが真凛だったからよかったけど」