無慈悲な部長に甘く求愛されてます
見ると真凛は無言でサンドウィッチにかぶりついている。もはや彼女は池崎先輩の存在自体をスルーすることに決めているようだ。
私はふうっとため息をついた。
「せっかくですけど、私なんかじゃ池崎さんとつり合わないので……」
「その奥ゆかしさ!最高だよ小松ちゃん!手作り弁当で毎日俺を癒してほしいな」
お弁当箱の脇に置いていた左手を急につかまれて、ぎょっとした。
とっさに手を引っ込めようとしたけれど、思いのほか力が強くて、びくともしない。
「あの池崎さん」
「この手で、俺のために弁当をつくってくれないかな」
頬が引きつった。この人、本当に他人の話を聞いてない。
「あの!」
「俺が作ってやろうか、池崎」
後ろからぬっと顔を出した相手に、池崎さんが「ひっ」と声を上げた。
スタイルのよさが際立つストライプ柄のスーツに身を包んだ冴島さんが、ぽん、と部下の肩に手をかける。
私は目を疑った。真凛もぽかんと口を開けている。