無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「邪魔したな」
不機嫌そうな顔のまま、冴島さんは踵を返してリフレッシュスペースを出ていく。
池崎さんの姿はとっくに消えていて、ほかの男性社員たちもこちらに気付いた様子はなく楽しそうにビリヤードを続けている。
「……熱いわ」
真凛のつぶやきに私は顔を伏せた。
「……なによ今の。これは俺の、的な?消毒してやる、みたいな?」
燃えた頬がますます火照る。
「あーあ、とうとうクリスマスの悪しき習慣も終わりかぁ」
感慨深そうに遠くを見る真凛に、私はとっさに言う。
「クリスマスディナー、しようよ。彼には……そのあとで会ってもいいし」
冴島さんならきちんと話せばわかってくれそうな気がする。
真凛は小さく笑って首を振った。
「いいの、気を遣わないで。私も色恋沙汰がないわけじゃないから……。まだ話せる段階じゃないけど、落ち着いたらちゃんと話すわ」
ちらりと昨夜のことが脳裏をよぎる。
本当は今すぐにでも聞きたい。
でも、真凛が待ってくれていたように、私も彼女から話してくれるのを待つべきだ。
そう心に決めて、私はうなずいた。