浅葱色の魁
「平助君……」


「でも、俺、俺、諦めない!
ちゃんと!生きるよ!
それから総司が、労咳になった
総司は、病になんかに負けねぇ
俺、総司が大好きなんだ
総司みたいになりたいから
俺が死ぬまで、絶対に総司を呼ばないで!
総司は、俺の目標だから!!!
それと……
脱走じゃなく、俺に会う為だって聞いた
ちゃんと書き置きしろよな!!!
馬鹿みたいなドジすんなよ!!!
はぁーーー!!山南さん!!!
なんか……言ってくれ……
クソッ 生きてる時に、伝えたかったことが他にもいっぱいあるんだぞ!!!」



「平助君…僕を目標にしてくれてたんだ
嬉しいよ
鬼の子なんて呼ばれてる
人斬りの僕を大好きだなんて
君には、本当に敵わないよ
平助君… 僕は、良い手本でなければ!
病には、負けません!負けない!!」



2人で強く誓い合い、屯所へ





江戸に行く前までしていた
女中の手伝いをしなくなり


「平助様」


「陽乃 あまり、声を掛けるな
用事があれば、総司に伝えてくれ」


「どうして…?」


「俺だけ特別ってわけにはいかねぇんだ」



伊東の目を気にして
陽乃を遠ざけ


なるべくひとりで過ごすようにした



全員集合して、初めての宴




「んだと!ごらっ!!」







「辞めなさい!!!」






平助が、伊東の弟 鈴木幹三郎に掴みかかった





「平助君 理由があるとしても
組長としての振る舞いではありませんよ」



「……すみません」



伊東に言われ、席に座ろうとすると



ドカッ



鈴木から蹴られ、平助が転がる



「……の、野郎……」


平助がふらりと立ち上がる



「辞めなさい!!平助君!!」



「俺、欠席 帰るわ」



平助が踵を返す、毛内が追おうと腰を上げるが、平助が毛内肩に手を置き止めた




平助が部屋を出ると


伊東が鈴木に



「何を言ったか知らないけど
平助君は、貴方の勝てる相手じゃない
それから、俺のお気に入りに何してくれてんだ… ん?」


「すっ…すみませんっ」





それは、実の弟をも殺しかねない程の
殺気がこもった目だった












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