浅葱色の魁
将軍警護の仕事が入り
新選組が出陣した日



将軍を乗せた籠の後方を歩く平助が
周囲の異変に気づいた



〝人が多い〟




近藤達に報せようと前方を見ると
伊東が振り返っていた



〝伊東さんは、気づいたんだ…〟



屋根上に行く という身振りをすると
伊東が頷いた



隣を歩く沖田に



「総司、動く」


「うん」



〝総司も気づいてたか〟



スッと列を外れ、屋根上へ




移動する平助を見つけ
土方が、声を出そうとすると
伊東が静かにと、口元へ人差し指をあてる




真っ昼間の町


その屋根上から、怪しい人物へ


飛び掛かる





それに合わせ、伊東が列を飛び出し駆ける




「大人しくなさい」



平助が捕まえた男に刀を突きつける




無事に捕らえて、警護を続ける





〝伊東さんとは、こういうとき
気が合うんだけどな…〟






江戸でも伊東と捕り物をしたことがあり
懐かしい気持ちになっていた




〝あの時は、まだ
男だと思われてたから
優しくて、よく面倒みてくれた
尊敬してたのに…
今じゃ、欲求の捌け口扱いだもんな〟






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