浅葱色の魁
警護の打ち上げをすることになったが


「俺は… いーや」


酒好きの平助が参加を拒んだ




宴の為、門限もなく、外泊も自由





伊東から逃げたい気持ちだったのに




旅籠での待ち合わせをしようと言われ




早々に屯所を出て
指定された旅籠でゴロゴロすることにした




何をされるのかは、わかっている




〝生きるためだ〟




何度も自分に言い聞かせるが
逃げたくてたまらない




何度もため息をついて
ソワソワと部屋中を歩く




〝生きた心地がしない〟





ようやく伊東が旅籠に現れた時には
疲れて大人しく座っていた



「平助君、夕食は?」


「食べてない」


「何か作って貰いましょうか?」


「いい」





緊張で、強張る平助に
そっと伊東が触れる




「1つ、お願いがある」


「なんだい?」


「優しくして欲しい
その… 伊東さん乱暴だから… 怖い」


「怖い…? 平助君を怖がらせていたつもりはなかったよ」


「本当に怖い…」


「わかりました
優しくすればいいんですね」



コクリと頷いた






どんなに受け入れようとしても
ぎゅっと目を閉じてしまう




〝いやだ…〟 










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