クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
「お礼するって言っただろ。それに、優姫がどんな反応をするのか興味があったから」

 彼の顔にはわずかに笑みが浮かんでいる。どこか楽しそうで、意地悪な。

「もしかして初めてだった?」

 その問いかけに、さすがにイラッとする。おかげで上がった体温がすっと下がり、頭が冷静さを取り戻した。幹弥にとって、今の行為に深い意味なんてない。

 いつもの私をからかうための延長だ。そう結論づけると、動揺することさえ彼を喜ばせるだけに思えて癪に感じた。

 落ち着け。ただ唇が触れ合っただけ。これくらいなら……。

「初めて……じゃない」

 ナイトとはしょっちゅう経験ある。人間と猫とではまったく別次元な気もしたけれど、とにかく私は平常心を取り戻そうとした。

 ちらりと幹弥を窺うと、彼の表情は崩れないままだった。それどころか、私の頬に手を伸ばして、強引に彼の方を向けると、再び身を寄せてきた。

「へぇ。なら、俺と初めてのキスをしよう」

 言われた言葉を理解する前に、彼の漆黒の瞳に自分が映っているのが見えた。けれど次の瞬間、先程と同じように唇が重ねられる。

 反射的に顔を背けようとするも、顔に手を添えられて、どうにもできない。苦しくて、恥ずかしくて私は目をぎゅっと瞑った。

 心臓がバクバクと音を立て、壊れそうだ。さっきも感じたけれど、唇を重ね合わせるという慣れない感触に戸惑いが隠せない。胸がバクバクと音を立てて、酸欠になりそうだ。

 ややあって唇が離れ、硬直したままだった私が気を抜こうとした瞬間、再び口づけられた。完全な不意打ちにパニックを起こしそうな私にかまうことなく、何度も角度を変えてキスが続けられる。
< 51 / 129 >

この作品をシェア

pagetop