クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
 ただ重ねられるだけでなく、触れ方を微妙に変えられ、翻弄されていく。そして軽く唇を舐めとられたときには、驚きのあまり硬直した。

 そんな私を見て幹弥は私をゆっくりと解放する。その顔は、私とは正反対で楽しそうだった。

「猫とするのとは、訳が違うだろ?」

「な、なん、で?」

 こんなことをしたの? どうしてさっきの話が猫のことだってわかったの?

 聞きたいことがたくさんあるのに、どれも言葉にできなくて、なんだか泣きそうになる。幹弥は笑いながら大袈裟に首を傾げた。

「わかるよ。優姫は俺と違って嘘をつくのが下手だから」

 どこまでが嫌味で、どこまでが本音か判断できない。けれど彼との圧倒的な差だけはしっかりと思い知った。

 私はやっぱり自分が思う以上に取り繕えてなくて、必死に見栄や肩肘を張る私は、彼にとって滑稽以外のなにものでもないんだ。

 初めて話したときも、今も、余計なことを言うんじゃなかったと心の中で後悔した。こんな形でファーストキスを奪われるなんて。彼を責めるより、自分の迂闊さに嫌気が差す。

「はい、これで機嫌を直してもらえる?」

 思考の海に沈みつつあった私を彼の声が引き戻した。そちらに視線を戻すと、幹弥が長方形の縦長の箱をこちらに差し出している。

「なに?」

 またうちの猫へのプレゼントだろうかと、おずおずと尋ねる。

「残念ながら今回はナイトにじゃないよ。開けてみればいい」

 さっきからの怒涛の展開に頭がついていかないけど、とりあえず言われるがままに箱を開けることにした。包装紙はなく、淡いブルーの箱に白いリボンが結ばれている。
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